今日は、10月28日(火)。
今、ビバルディのバイオリン協奏曲 四季 第一番 ”春”、その第一楽章を聴きながらこのブログを書いています。
私は、この協奏曲が録音されているCDを3枚持っています。
そのうち2枚は、イタリアの ”イ・ムジチ” という ”その筋” の方々には有名な弦楽合奏団のもの。
同じイ・ムジチのCDではありますが、録音された年代が異なっています。
そしてもう一枚は、スイスのルツェルン音楽祭弦楽合奏団のもの。
イ・ムジチのCD2枚は、四季の演奏がフル録音されていますが、ルツェルンのCDは、春の第一楽章/第二楽章、冬の第二楽章と、有名なフレーズが入っている楽章のみがチョイスされています。
バロック音楽の中でも、とても有名なビバルディの ”四季”。
その中でも、おそらく聞いたことのない人はいない…と思われる、春の第一楽章。
「これだけ有名な曲なんだから、どのオーケストラ/楽団が演奏しても、それほど違いはないだろう」…
そう思う方も多いかもしれません。
ところがこの3枚を実際に聴いてみると、これがまったく違うイメージを受けます。
3枚のCDを、仮にA、B、Cと名付けることにましょう。
1枚目:A。
これはイ・ムジチの演奏で、1959年4月にウィーンで演奏されたものを録音。
2枚目:B・
これもイ・ムジチの演奏ですが、こちらは1969年9月にスイスで演奏されたものを録音。
3枚目:C。
これはルツェルンの演奏で、残念ながら録音した年月は分かりませんでした。
とはいえ、これが一番新しい録音で、おそらく1980〜1990年代に録音されたものだと思います。
それぞれの印象は、こんな感じです。
A:
バイオリン等の弦に弓を当てる(こする?)力が優しい…そんな感じがします。
このためやや柔らかい音として聞こえます。
しかし弱く小さい音…ということではなく、低音部分のコントラバスも、しっかり聞こえます。
また全体的に音と音が繋がっている演奏…というイメージです。
B:
弦に弓を当てる力が、Aに比べて強い感じです。
このためメリハリの効いた音として聞こえ、キレもある…という印象です。
とはいえ、強く大きな音をさせるばかりではなく、弱く小さな音の演奏部分との対比もしっかりあります。
C:
AやBに比べて、演奏のテンポが少し早いです。
かつ、コントラバス等の低音部分がそれほど響いてこない(録音時のマイクが遠い?)ような気もします。
このため、軽やかで軽快な印象を受けます。
一般的にバロック音楽の持つイメージは、バロック建築と同様に ”重厚さ”。
その ”重厚さ” という観点で述べるなら、AとBの演奏はそのイメージ通り。
これに対しCの演奏は、少しテンポが早いこと、低音部分が目立たないこともあって、重厚さではなく軽やか/軽快なイメージです。
演奏の重厚さでいうと、
(重厚さ) B > A > C (軽快さ)
という感じですね。
音楽については素人の私の説明で、ちょっと分かりにくいとは思いますが、まあざっくりこんなイメージです。
A、B、C、それぞれに良さはありますが、私個人の好みとしては、
「Bが一番しっくりくる」…
と感じています。
同じ楽曲(楽譜)であっても、指揮者や演奏者によってかなり印象が異なってしまうクラッシック音楽。
クラッシック音楽だけではなく、ロックやポップス、日本の演歌だって、演奏者や歌い手によって、同じ曲がまったく違うイメージになることもしばしば。
しかしクラッシック音楽は、同じ楽曲がさまざまな指揮者やオーケストラ/楽団/演奏者によって演奏され、演奏を録音したCDがそれぞれ発売されている…という特徴があります。
そんなクラッシック音楽だからこそ、指揮者や演奏者による違いを感じながら、一つの楽曲を聴き比べてみる…
そんな、ちょっと ”オタク” な楽しみ方もあったりします。
この楽しみ方は、ピアノに関してとくにその傾向が強いような気がしますね。
高校の同級生の中に、ショパン、ドビュシー、ベートーベン等の同じピアノ曲(のLPレコード)を、ピアニスト違いで何枚も持っている友人がいましたから…
BGMにかけたCDに関連して、ちょっと ”オタク” な楽しみ方を考えてみた…
そんな朝の一コマでした。
